【医師監修】インフルエンザはただの風邪じゃない?ワクチンで防ぐ心筋炎・脳症と、高層階で注意すべき「異常行動」
ハイサイ! 安謝ファミリークリニック院長の高良です。
今年のインフルエンザは流行が早く、ワクチン開始時期よりも早く流行が始まってしまったため発熱の方の受診増加とインフルエンザワクチンの駆け込みでてんやわんやです。。。
「インフルエンザワクチンを打っても、かかる時はかかるから意味がないのでは?」
予防接種のシーズンになると、このようなご質問をよくいただきます。
確かに、インフルエンザワクチンは「100%絶対に感染しない」魔法の薬ではありません。しかし、ワクチンの真の目的は「命に関わる危険な合併症を防ぎ、重症化を食い止めること」にあります。
今回は、あまり知られていないインフルエンザの重篤な合併症である「心筋炎」や「急性脳症」、そしてマンションなどにお住まいの方が特に注意すべき「異常行動」について分かりやすく解説します。
1. まれだが急激に悪化する「心筋炎」と「急性脳症」の確率
インフルエンザにかかると、高熱や関節痛、咳などのつらい症状が出ますが、通常は数日から1週間ほどで回復します。しかし、体内でウイルスが急激に増殖することで、心臓や脳に深刻なダメージが及ぶことがあります。
突然心臓のポンプが止まる「劇症型心筋炎」
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どんな病気?: ウイルス感染をきっかけに心臓の筋肉(心筋)に炎症が起きる病気です。
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発生頻度は?: インフルエンザにかかった方のうち、重い心筋炎を発症するのは数千人〜数万人に1人程度、あるいはインフルエンザで入院した方の約0.2%程度と決して多くはありません。
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特徴: しかし、発症すると若く健康な方でも「劇症型」と呼ばれる非常に危険な状態になり、数時間〜数日で急激な血圧低下や心不全に陥ることがあります。「熱のわりに脈が速すぎる」「胸が痛い」「息苦しい」といった症状には厳重な警戒が必要です。
毎年報告される小児の「インフルエンザ脳症」
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どんな病気?: ウイルスの増殖に対して免疫が過剰に反応(サイトカインストーム)し、脳がひどくむくんでしまう病気です。
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発生頻度は?: 日本国内では毎年約100〜500人程度が発症していると推計されています。
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特徴: 発熱からわずか1日程度で「意識がもうろうとする」「けいれんが止まらない」といった症状が現れ、後遺症を残したり、最悪の場合は命に関わったりすることがあります。
2. 脳炎でなくても要注意!インフルエンザによる「異常行動」
「うちの子は脳炎・脳症ではないから大丈夫」と安心するのは危険です。実は、脳に明らかな炎症が起きていなくても、インフルエンザにかかると「異常行動」が起こりやすくなることが分かっています。
異常行動とは?
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突然立ち上がって部屋から飛び出そうとする
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興奮してベランダへ出て、飛び降りようとする
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変なことを言い出し、泣きながら部屋を歩き回る
これらは、抗インフルエンザ薬(タミフルなど)を飲んでいる・いないに関わらず発生します。厚生労働省の報告でも、異常行動によるマンションなどからの転落事故が毎年報告されています。
高層階にお住まいの方へ:必ず行うべき安全対策
異常行動は「発熱から2日間」に最も多く見られます。特に2階以上にお住まいのご家庭では、お子さんがインフルエンザと診断されたら以下の対策を徹底してください。
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玄関やすべての窓の鍵を確実にかける(可能であれば補助錠やチェーンロックも活用する)
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ベランダに面していない部屋で寝かせる
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一戸建ての場合は、できる限り1階で寝かせる
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発熱から2日間は、お子さんを一人きりにしない
3. ワクチンが「命を守るブレーキ」になる理由
心筋炎も脳症も、そして重度の異常行動も、「体内でインフルエンザウイルスが爆発的に増えすぎること」が引き金の一つになります。
あらかじめワクチンを接種しておくと、ウイルスが体に入ってきても、その増殖スピードを抑え込むことができます。実際に、ワクチンを接種していると、重症の脳症で集中治療室(ICU)に入るリスクや、心筋炎などを発症するリスクが大きく低下することが国内外の研究で証明されています。
つまりワクチンは、『万が一かかってしまった時に、命に関わる暴走を起こさせないための強力なブレーキ』なのです。
高齢者や持病(糖尿病・心疾患など)がある方へ
高齢者や、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの持病がある方は、ウイルスの増殖を抑える免疫の働きが弱まりやすいため、インフルエンザをきっかけに持病そのものが急激に悪化する危険性が高まります。例えば、インフルエンザによる全身の強い炎症が心臓に負担をかけて心不全を誘発したり、血糖コントロールが急激に乱れたり、重症の肺炎を併発したりして命に関わる事態に発展することが少なくありません。実際にインフルエンザによる入院患者や重症者の多くを高齢者や基礎疾患を持つ方が占めているため、ご自身はもちろんのこと、周囲のご家族も一緒にワクチン接種を受け、家庭内にウイルスを「持ち込まない・重症化させない」防波堤をつくることが極めて重要です。
安謝ファミリークリニックからのメッセージ
重篤な合併症は頻度としては多くありませんが、発症すると進行が極めて早く、後から治療を追いつかせるのが非常に難しいのが特徴です。
小さなお子さんやご高齢の方、持病のある方はもちろん、大切なご家族を守るために、本格的な流行期を迎える前の予防接種をご検討ください。
当院では、内科・小児科の両面からご家族皆さまの健康をサポートしています。インフルエンザの予防接種や、発熱時のお困りごとなど、どうぞお気軽にご相談ください。
