健康診断でピロリ陽性と言われたら?/解説,よくある疑問
ハイサイ!院長の高良です。
「健康診断で、ピロリ菌がいたって言われたんだけど、どういうこと?」
そう言われて、少しドキッとしたかもしれませんね。でも大丈夫!ピロリ菌は、きちんと治療すればいなくなる菌です。今日は、ピロリ菌について、わかりやすく解説します。
1.ピロリ菌ってどんな菌?
ピロリ菌は、正式には「ヘリコバクター・ピロリ」という名前の細菌です。私たちの胃の中に住み着くことができる、ちょっと変わった菌なんです。胃の中は強い酸で満たされているため、普通の細菌は生きられないのですが、ピロリ菌は特別な力で酸から身を守りながら、胃の壁にくっついて生活しています。
多くの人が子供の頃などにピロリ菌に感染すると言われています。感染してもすぐに症状が出ることは少ないため、健康診断などで初めて気づく人も多いんです。
2.なぜピロリ菌が胃に存在できるのか?
ピロリ菌は特別な力があると書きましたが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を刺すことができます。そしてウレアーゼはなんと図のように色々あって胃酸を中和させてしまう力があるんです。すごいですね。
3.ピロリ菌がいると、どうして良くないの?
ピロリ菌が長い間、胃の中に住み着いていると、胃の壁を少しずつ傷つけてしまうことがあります。これが原因で、様々な病気になる可能性があるのです。
- 胃炎: 胃の粘膜が炎症を起こし、胃が痛くなったり、気持ち悪くなったりします。
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍: 胃や十二指腸の壁が深く傷つき、強い痛みが出ることがあります。
- 胃がん: 長い間ピロリ菌に感染していると、ごくまれに胃がんになるリスクが高くなることがわかっています。
これらの病気を防ぐために、ピロリ菌が見つかった場合は薬を内服することによって除菌することが大切なのです。
4.どうやってピロリ菌をやっつけるの?(除菌方法)
ピロリ菌の除菌治療は、主に3種類のお薬を1週間ほど飲むことで行われます。
- 胃酸を抑える薬: 胃酸の分泌を抑えることで、抗菌薬の効果を高めることができます。
- 抗菌薬(こうきんやく)2種類: ピロリ菌をやっつけるための2種類内服します。
これらの薬を、医師の指示通りにきちんと飲むことが、除菌成功のためにとても重要です。飲み忘れがないように、しっかりと守りましょう。
5.ピロリ菌ってどこからうつるの?
家族からの感染 井戸水からの感染
6.除菌治療をする際の注意点
除菌治療を始めるにあたって、いくつか注意しておきたいことがあります。
- 薬は必ず指示通りに飲む: 自己判断で飲むのをやめたり、量を減らしたりすると、除菌がうまくいかないことがあります。
- 副作用について知っておく: まれに、下痢や吐き気、味覚異常などの副作用が出ることがあります。もし症状が出たら、すぐに医師や薬剤師さんに相談しましょう。
- 飲み合わせに注意: 他に飲んでいる薬がある場合は、必ず医師や薬剤師さんに伝えましょう。
- 禁酒・禁煙: 除菌治療中は、アルコールは控え、タバコはやめましょう。治療の効果を妨げる可能性があります。(最新の薬では影響を受けないといった報告もあります。)
7.除菌するまでに胃カメラ検査は必要?(保険診療の場合)
健康診断でピロリ菌陽性と診断された場合、保険診療で除菌治療を受けるためには、原則として事前に胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を受ける必要があります。
これは、ピロリ菌感染による胃の炎症や潰瘍の有無を確認し、適切な治療法を選択するために重要なステップです。胃カメラ検査では、食道、胃、十二指腸の粘膜の状態を直接見ることができ、必要に応じて組織を採取して詳しく調べることができます。
8.患者さんからのQ&A
ここでは、ピロリ菌について患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. ピロリ菌に感染しているかどうかの検査は、健康診断以外でもできますか?
A. はい、できます。胃の調子が悪いなどの症状がある場合は、医療機関を受診してピロリ菌の検査を受けることができます。血液検査、尿素呼気試験、便検査など、いくつかの検査方法があります。(※保険診療の場合は胃カメラを先に受けることが条件になります。)
Q2. 除菌治療は必ず成功しますか?
A. ほとんどの場合、1回の治療で除菌は成功しますが、約1~2割の方で除菌がうまくいかないことがあります。その場合は、薬の種類を変えて2回目の除菌治療を行うことができます。(※3回目からは自費診療となります。)
Q3. 除菌に成功したら、もうピロリ菌に感染することはないのですか?
A. 基本的に、除菌に成功すれば再びピロリ菌に感染することはまれだと考えられています。
Q4. ピロリ菌がいると言われたけど、特に症状がない場合は、すぐに除菌する必要はありますか?
A. 症状がない場合でも、ピロリ菌は胃の粘膜を傷つける可能性があるため、基本的には除菌をおすすめします。胃がんのリスクを低下させることが知られていますし、将来の胃の病気のリスクを減らすことにつながります。
Q5. 除菌治療が終わった後、気をつけることはありますか?
A. 除菌治療後も、バランスの取れた食事を心がけ、暴飲暴食を避け、規則正しい生活を送ることが大切です。胃の調子が気になる場合は、遠慮なく医師に相談してください。
9.最後に
健康診断でピロリ菌陽性と診断されたことは、決して珍しいことではありません。大切なのは、放置せずにきちんと医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることです。
当クリニックでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を心がけています。ピロリ菌について心配なことやわからないことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。一緒に、胃の健康を守っていきましょう。