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食道がんリスクがMCV(平均赤血球容積)でわかる?|内視鏡専門医が解説

[2025.06.03]

 ハイサイ! 安謝ファミリークリニック院長の髙良です。
 以前、食道がんに関して多量の飲酒や喫煙、飲酒したあと顔が赤くなる人はリスクが高いというお話をさせていただいていたかと思います。→食道癌の早期発見と予防を参照

 もう少しわかりやすい指標が今回分かったようです。
 それは、MCV(平均赤血球容積)です。

1. MCV(平均赤血球容積)とは?

 MCVとは「Mean Corpuscular Volume」の略で、赤血球1個あたりの平均的な大きさを示す血液検査の指標です。

  • 正常範囲:80〜100 fL(医療機関によって若干異なります)

  • 100 fL以上:高MCV(大球性赤血球)

  • 80 fL未満:低MCV(小球性赤血球)

 MCVが高くなる原因には、アルコールの過剰摂取、葉酸やビタミンB12の欠乏、肝機能障害などが含まれます。


2. なぜMCVが高いと食道がんリスクが高まるのか?

 MCVが高いということは、赤血球が大きくなっている=造血に何らかの異常があるというサインです。
 とくに、アルコールの多飲が原因のMCV高値は、食道粘膜にも慢性的なダメージを与え、がんのリスクを高めると考えられています。
 さらに、葉酸やビタミンB12の欠乏も細胞のDNA修復機能を弱め、がんの発生を助長する可能性があります。


3. 静岡の国保データベースによる研究とは?

 最近発表された日本の研究では、静岡県の国民健康保険加入者データベースを用いた約8万人規模のコホート研究において、次のような結果が報告されました:

MCVが高い(104fL以上)人では、食道がんの発症リスクが有意に高いという関連性が認められました。

特に、喫煙習慣やアルコール摂取習慣のある人において、MCV高値と食道がんの関係はより強くなっていたとされています。


4. 食道がんの初期症状はある?

 残念ながら、食道がんの初期にはほとんど自覚症状がありません
以下のような症状が出る頃には、進行していることも少なくありません:

  • 食べ物がつかえる感じ

  • 胸のつかえや痛み

  • 体重減少

  • 声のかすれ

だからこそ、症状が出る前にリスクを見抜いて内視鏡検査で確認することが、早期発見・早期治療につながるのです。


5. 早期発見のカギは内視鏡検査

  早期の食道がんは、内視鏡でないと発見が困難です。
しかし、内視鏡検査で早期に発見できれば、体への負担が少ない内視鏡治療(ESDなど)で根治が可能です。

以下のような方は、ぜひ一度、内視鏡検査をご検討ください:

  • 健診でMCVが104以上だった

  • アルコールをよく飲む

  • タバコを吸う

  • 家族に食道がんの人がいる

  • のどや胸の違和感が気になる


6. 院長からのメッセージ

 健康診断でよく見かけるMCVという数値。
普段はあまり注目されませんが、実はがんの兆候が隠れていることもあるというのが最新の研究からわかってきました。

「少しの違和感でも、早めに確認することが未来を守る第一歩です。」

当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない内視鏡検査を行っております。
気になる方は、お気軽にご相談ください。

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