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AIは医師をダメにする?最新研究と「腺腫発見率(ADR)」から考える、本当に質の高い大腸カメラ検査の選び方

[2025.08.26]

 ハイサイ!安謝ファミリークリニック院長の高良です。

 先日、「AIの助けに慣れた医師がAIなしで検査をすると、ポリープの発見率が約20%低下した」という、少し気になる研究結果が発表され、話題になりました。

 「AIに頼ると、先生の腕は落ちてしまうの?」
「これからはAIがないクリニックは避けるべき?」

 このようなニュースに触れ、ご不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、この研究結果を深掘りするとともに、大腸カメラ検査の「質」を測る上で最も重要な指標である「腺腫発見率(ADR)」について解説します。そして、患者様に安心して検査を受けていただくための、私たち安謝ファミリークリニックの考えと取り組みについてお話ししたいと思います。

話題の研究の要約しました。

ポーランドなどの国際研究チームが発表した研究のポイントは以下の通りです。

  • AI導入前の腺腫(※)発見率は28.4%でした。

  • ところが、AI導入後にAIを「使わず」に検査したグループでは、発見率が22.4%にまで低下。

  • 研究チームは「医師がAIに頼ることで、無意識に注意力や集中力が低下するのではないか」と結論づけています。

(※腺腫(せんしゅ)とは、大腸ポリープの一種で、放置すると将来大腸がんに進行する可能性のあるものです。これを見つけて切除することが、大腸がん予防の鍵となります。)

この「腺腫発見率」の低下が、なぜこれほど問題視されるのでしょうか。それを理解するためには、この数値が持つ本当の意味を知る必要があります。

「腺腫発見率(ADR)」ってなんですか?

 そもそも、なぜ私たちは「腺腫の発見率」にこれほどこだわるのでしょうか。
それは、この「腺腫発見率(ADR:Adenoma Detection Rate)」こそが、大腸内視鏡検査の質を客観的に示す、いわば医師の“成績表”だからです。

 このADRの重要性が世界中に知れ渡るきっかけとなった、2014年に発表された一編の衝撃的な論文があります。(NEJM 2014;370(14):1298-1306)

 この研究ではこう述べられています。

  1. ADRが低い医師の検査を受けた患者さんは、その後に大腸がんが見つかる確率が有意に高かった

  2. 逆に、ADRが高い医師の検査を受けた患者さんは、その後の大腸がん発見率が有意に低かった

  3. そして、ADRが1%上昇すると、検査後に大腸がんになるリスクが3%も低下する

 たった1%の違いが、患者様の将来のがん予防にこれほど大きく影響するのです。この研究は世界中の内視鏡医に衝撃を与え、以来、ADRは検査の質を評価する指標(Quality Indicator)として位置づけられました。

 現在、米国のガイドラインでは、質の高い検査の目標として「ADRが男性で30%以上、女性で25%以上」という具体的な数値を掲げています。私たち内視鏡医は、この目標をクリアするために日々技術を磨き、丁寧な観察を心がけています。

AI研究の結果を「ADR」の視点から見ると…

 このADRの重要性を踏まえて、もう一度ポーランドの研究結果を見てみましょう。

 AI導入前には28.4%だった発見率が、AIに慣れた医師がAIなしで検査をすると22.4%にまで落ち込んでしまいました。これは、質の目標である25%や30%というガイドラインで推奨されている数値を下回ってしまっています。

 便利なはずのAIが、使い方を誤ると、検査の質そのものを低下させ、ひいては「がんを予防する」という大腸カメラの最も大切な目的を損ないかねない。この研究は、私たち医療者にその警鐘を鳴らしているのです。

【当院の約束】ADR向上とAIとの正しい付き合い方

では、私たち安謝ファミリークリニックは、この問題にどう向き合っているのか。患者様に質の高い検査を提供するための、当院のスタンスと取り組みをお伝えします。

 当院では、AI診断支援機能を導入しておりませんが、常に高いADRを維持することを第一目標としています。実際に昨年のADR(腺腫発見率)は50%を超えております。AIは、その目標達成を助ける「あくまで補助的なツール」です。

 最も大切なことは、AIがあってもなくても、常に高いパフォーマンス(=高いADR)を発揮できる実力を医師自身が維持し続けることです。
 当院では、定期的な学会や研究会への参加を通じて、常に最新の知見を取り入れ、内視鏡技術の研鑽に励んでいます。AIという道具に頼りきるのではなく、その道具を使いこなすための自己研鑽こそが、プロフェッショナルとしての責務だと考えています。

まとめ:安心して検査をお受けいただくために

 今回の研究は、医療者にとって身の引き締まる報告でした。

 安謝ファミリークリニックでは、医師自身の目と手、そして「質の高い検査(高いADR)」へのこだわりを何よりも大切にした丁寧な検査をお約束します。

 大腸カメラ検査について、ご不安なこと、疑問に思うことがありましたら、どんな些細なことでも構いません。どうぞお気軽に私たちにご相談ください。

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