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胃癌の早期発見に胃カメラは必要か?

[2023.04.05]

 先日、当院の理事長の胃カメラを行いました。なんと75歳にして初胃カメラ(バリウムの検査もしたことがありません)です。
 診療もあるため、鎮静剤は使用せず鼻から挿入し検査しました。胃のなかに何もないように祈りながら挿入しましたが、幸い胃のなかは綺麗でした。
 今回は無鎮静で行なったため、理事長もモニターを見ながら検査できました。
こちらが、実際の写真の一枚です。
胃の中に入ったところの画像です。粘膜は浮腫や赤みもなく汚い粘液の付着もありません。正常な胃です。ご覧の通り、当院では経鼻(直径6mmの細い胃カメラ)を使用しておりますが、綺麗な画像で正確性の高い診断ができます。

 実際にがん検診で胃カメラは必要なのか?について情報提供させていただきます。
 現在行われている胃癌検診は、40代以上の方が受けることができバリウムを飲んでレントゲンを撮る胃透視と言われる検査が基本となっております。
 
 胃透視の画像の1例です。実は胃癌が隠れていますが、わかりますでしょうか?見慣れてくると病変が見えてきます。 赤丸のところに癌があります。難しいですよね。胃カメラだとこんな感じで見えます。 やっぱりカメラで直接見ると一目瞭然ですね。

 統計での話をさせていただくと鳥取と新潟症例対象研究において,3年以内に少なくとも1度でも胃内視鏡検診を受診した場合,30%の胃癌死亡率減少効果を認めた。との報告もありますし、韓国の国家がん検診データベースに基づく研究では,胃内視鏡検診により57%の胃癌死亡率減少効果を認めた(オッズ比0.43,95%CI:0.40-0.46).一方,胃透視検診では胃癌死亡率減少効果は7%にとどまっていた。との報告もあります。この報告を見ると医療者側でも胃透視の検査で癌を見つけることは難しいことがわかります。
 ではなぜ、がん検診で胃透視検査が基本となっているか?
 コストの問題かと思われます。
 胃透視の検査は、レントゲン室とレントゲン技師1名いてくだされば、検査可能となりますし喉の麻酔なども必要なく時間もかかりません。
 胃カメラの場合は、医師と最低でも看護師が1名(2名いるとありがたい)は必要となりますし、胃カメラの機械は高価です。胃カメラする前の喉の麻酔や検査中に鎮静剤を使うことも珍しくありません。ですので時間とお金が必要になるんです。
 現在胃癌検診で胃カメラを希望される場合は追加料金が発生することになっておりますが、癌を見つける実力は高いものになっています。

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