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シルガード開始(4月より新しい子宮頸がん予防ワクチンが開始しました。)

[2023.04.04]

子宮頸がんとは?

 子宮頸がんとは、子宮の入り口に発症するがんのことです。肺がんや大腸癌など一般的ながんは、中年から高齢に発症することがほとんどですが、子宮頸がんは20代後半から40代の女性に多く発症しMOTHER KILLER(母親殺し)などと言われることもあり非常に厄介ながんの一種です。
 日本では年間約1万人が子宮頸がんにかかり、毎年約2,800人の女性が子宮頸がんで亡くなっています。沖縄では、毎年100人程度がかかり30人程度が亡くなられているようです。

子宮頸がんの原因は?   

 一般的ながんは、発症リスク(飲酒や喫煙、肥満、糖尿病など)がわかっているがんもありますが直接的な原因はわかっていないことがほとんどです。しかし、子宮頸がんの場合は主な発生原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染であることがわかっております。HPVには型が200種類以上あることがわかっておりますが、その中で子宮頸がんに関わっているものは高リスクから低リスクなものまで含めると少なくとも15種類以上あると言われています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)はどうのようにして感染する?

 HPVはありふれたウイルスであり、性行為によって感染することが知られています。海外の報告では、異性との性経験がある女性の84.6%が一生に一度は感染すると推計されています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するには?

 感染予防を行うには、性感染症の予防法としてコンドームなどの装着を考えられた方もいらっしゃるかもしれませんが、不十分な予防となります。HPVは外陰部や肛門にも存在するためコンドームでカバーできない要素があるからです。現在、感染予防の基本はワクチン接種が推奨されています。
 現在日本では2009年から接種は開始され、接種率も70%程度の高い水準でしたが副作用などが問題視される時期があり、2013年より積極的接種が中止されその後の接種率は数%と低いものとなりました。
 2021年にその振り返りとして、積極的接種を受けた世代と受けていない世代の子宮頸部細胞診異常率をひっかくした論文が発表されましたが、積極的接種がなされていない世代では細胞診の異常率が上昇している結果となっております。

今回新しく始まるワクチンとは?

 昨年度まではガーダシル(4価ワクチン)、サーバリックス(2価ワクチン)が 日本では使用可能でしたが、今年度よりシルガード(9価ワクチン)が使用可能となりました。
 ()内に書きました通り、3つのワクチンの違いはたくさん種類のあるHPVの中で予防できる型の種類が違います。シルガードは9種類に対応しており、3つのワクチンの中で最も多くなっています。
 単純に考えてもシルガードは対応する種類が多いため、より良い効果が期待できます。当院でも今年度より子宮頸がん予防ワクチンの初回接種を始められる患者様にはシルガードを接種する方針としております。

 ワクチンの安全性は?

 ワクチンにおいて問題となるのは副作用、副反応だと思います。全く副作用がなければ当然接種率は100%に近くなると思われますが、現状副作用を絶対にワクチンは存在しません。
 ワクチンを打たれる方は基本的には元気な方、健康な方が大半ですのでわざわざ健康を損なう可能性のあるワクチンは打たないという気持ちは理解できます。
 シルガードの副作用・副反応としては、注射接種部位の痛みは9割の方に見られ、腫れや赤みも40%程度の方に見られるとされていますがそのほとんどが数日で治ります。全身反応としては、頭痛が14%、頭痛5%、悪心4.4%、めまい3%などが主に報告されています。重大な副作用としてアナフィラキシーやギランバレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散財性脳脊髄炎(ADEM)の報告がなされています。
   2013年に問題となった物忘れや歩けないなどの副作用ですが、名古屋市が独自に行なった疫学調査では接種された方と接種されなかった方の集団を比較すると差が見られなかった。(ワクチンによる影響はないことが示唆される)といった結果が出ております。
 ですので、以前世間を賑わしたような副作用に過度に不安になる必要はないと思われますが副作用がないわけではありません。
 副作用が見られた際は、基本的には接種元での診察となりますが対応が難しい場合各都道府県に設置されている専門の病院での診察となります。沖縄では琉球大学病院の麻酔科がそれにあたります。

 ワクチンは打つべき?打たないべき?

 現在子宮頸がん予防ワクチンは、定期接種に位置付けられておりますが義務でも強制でもなく、希望制です。打つか打たないかは個人に委ねられています。
 当院でも、情報提供は行いますが積極的にお勧めすることはありません。(自分の娘に打つかと言われたら打ちますと答えますが、、) 個人的にはメリットが上回っていると考えており、どんどんおすすめしたい気持ちもありますが、小さなクリニックはコロナワクチンの時にあったような批判には耐えられません。副作用は全体で見れば小さなものかもしれませんが、当事者になると大きなものです。やはり個人個人で接種の是非を考えるしかないのが現状かと思います。

 情報はどこを見たらいい?

 厚生労働省がホームページで情報提供を行なっており、冊子もあります。一度ご覧になってはいかがでしょうか?

厚生労働省 HPVについて

 

 

 

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