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インフルエンザについて

今年のインフルエンザの状況について

 コロナの大流行によりここ2年ほど徹底された感染対策によりインフルエンザの流行は2021,2022年は見られておりませんでしたが、2022年の年末より流行が見られております。
 那覇市においては、定点報告により(特定の医療機関から保健所へ感染者の数を週ごとに報告するシステムです。全体の報告数を報告した医療機関の数で割り算出します。流行の状態を観測できます。)2022年の12月の初旬ではほとんど見られていなかったインフルエンザですが、12月第2週は8名(0.67)、12月第3週は40名(3.33)、12月第4週は103名(8.58)と倍々に増加しており、2023年第1週は215名(17.92)、2023年第2週は356名(29.67)と依然として増加の一途となっております。
 以前の流行の経験からすると、2月頃には落ち着いてくると思われますが3年越しの流行であり予測が難しいところです。
 

インフルエンザの症状・感染について

 高熱、咽頭痛、鼻汁、鼻詰まり、関節痛などコロナと同様の症状が見られ見分けは困難です。また下痢・嘔吐と消化器症状が見られる方もおりこちらもコロナと同様です。
    発症する前日頃から感染力はあると言われています。また、発症後5日間かつ解熱後2日間(乳幼児の場合は3日間)感染性があると言われておりますので、登園・登校の制限がございます。社会人の方々は、特別法律による縛りはないですが、登校基準に沿った対応が望ましいと思われます。

インフルエンザの診断

 以前の流行期は、インフルエンザ流行期の高熱・関節痛患者はインフルエンザ感染者との接触が確認されれば即インフルエンザとして診断・治療を行っておりました。しかし、今回の流行期はコロナの感染症の方との区別が難しく、抗原検査などを併用して診断していかれる医療機関が多いかと思います。
 最近では、咽頭後壁の所見(見た目)によりインフルエンザと診断できるとの報告がありますが、コロナの時代に咽頭の観察を詳細するためにはコロナであることをまず否定しなければならず(医療側の感染暴露防止のため)、検査抜きの診断が非常に難しい状態に医師として歯痒い思いを感じております。

インフルエンザの治療

 日本では基本的にタミフルが使用されています。タミフルは、インフルエンザウイルスが増殖するのを障害することにより(ウイルスを直接攻撃する薬ではありません。)効果を発揮します。そのため、インフルエンザが体の中で最大となる発症から48時間以内に内服することが望ましいとされています。
 実際の効果としては、重症化リスクがある方(呼吸器疾患や糖尿病、肝疾患、血液疾患、5才未満の小児、妊婦、高齢者など)は重症化リスクを軽減する効果があると言われています。その他の方に対しては、発熱の期間が1日程度短縮されるといった報告があり平均3-5日間で症状が改善することを考えると効果は限定的と言われています。
 なので、世界的には処方は重症化リスクのある方に処方されることが一般的で日本は世界でも処方量が多いと言われています。
  タミフルの他に日本で処方できる薬は、ゾフルーザ、リレンザ、イナビル、ラピアクタなどがあります。ゾフルーザは一回飲めば終わりという手軽さのメリットがある反面、ゾフルーザ耐性ウイルスの出現や薬価が若干高いなどのデメリットがあります。リレンザ、イナビルは吸入薬タイプで副作用が少ないとの触れ込みがありますが、人によって本当に吸えているのか不明な点もあり吸入器が初めての方に処方するにはハードルがあります。ラピアクタは点滴の薬で、内服できない方や重症の方にに使用されます。
 以上の理由から当院では第一選択はタミフルで、吸入に自信があればイナビル・リレンザも良いかなと思っております。ゾフルーザも良い点が多いですが、タミフルなどが使えない場合に取っておきたいといった感覚です。

予防

 予防は日頃の感染対策(手洗い・マスクなど)も重要ではありますが、ワクチン接種が必要かと思います。ワクチンの効果としては、40-60%程度の発症予防効果があり、免疫持続期間は6ヶ月前後との報告があります。重症化リスクを抱えた人は勿論のこと、妊婦さんに関しても死産や早期産を減らすデータもあり積極的な接種が望まれるかと思います。医療側としてはできるだけ、流行前に多くの方に接種していただきたいところではありますが、なかなか接種率が上がらないようです。(全人口の1/3程度と言われています。)

 

 

 

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