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アニサキス症の症状・治療・予防を徹底解説|消化器内科専門医が解説

[2025.05.27]

ハイサイ!安謝ファミリークリニック院長の高良です。はやくも5月が終わります。6月は祝日がないので頑張らないといけませんね。。。今回はアニサキス症を取り上げたいと思います。

 アニサキス症とは? 魚の生食が招く「激痛」の正体

 アニサキス症は、サバ・イカ・サンマなどに寄生する線虫が胃や腸壁に刺入して起こる食中毒です。日本では年間7,000件以上の報告があり、特に近年は温暖化の影響で従来「安全」とされた日本海側の魚でも感染リスクが急増しています:。幼虫(体長2-3cm)が粘膜に食い込むと、アレルギー反応を含む激しい症状を引き起こします。

こんな症状が出たら即受診!

胃アニサキス症(93.2%):食後3-8時間でみぞおちに「刺すような痛み」・嘔吐
腸アニサキス症(2.6%):1-5日後に下腹部痛・腸閉塞リスク
アナフィラキシーショック:蕁麻疹・呼吸困難(死滅した幼虫でも発症)

内視鏡検査が痛みを即座に解消!

 当院では即日内視鏡検査を実施し、虫体の摘出まで行います。胃カメラで直接確認し、専用鉗子で除去する方法が最も効果的で、除去後90%以上の症例で1時間以内に痛みが消失します:腸に寄生した場合は、鎮痛剤や抗ヒスタミン薬による対症療法で自然排出を待ちます。

【症例報告】3匹寄生例です
50代男性がヒラメの刺身摂取後、胃の入口に3匹のアニサキスを確認。頭部を確実に把持することで完全摘出に成功しました。

虫体が噛み付いているところです。

虫体除去後です。胃粘膜の一部も一緒にとらないと完全に除去できないため多少の出血があります。

予防の3原則|加熱・冷凍・目視の徹底

・加熱調理:70℃以上(60℃なら1分以上)
・冷凍処理:-20℃で24時間以上(家庭用冷凍庫は不十分な場合あり)
・調理時のポイント
内臓は速やかに除去(鮮度低下で筋肉へ移動)
養殖魚はリスク1/10以下

【注意】迷信に要注意!

 「わさび・酢じめ・塩漬けで死滅」は完全な誤りです。正露丸は一時的な症状緩和効果が確認されていますが、根本治療には内視鏡が必要です。

 温暖化で変わるリスク分布|日本海側でも警戒必須
2025年現在、日本海側のサバから食中毒を起こしやすい「太平洋型アニサキス」が急増中。福岡県では2022年に症例数が前年の5倍に達し、従来の安全神話が崩壊しています。背景には海水温上昇による魚の回遊経路変化が指摘されており、「どの海域の魚でも生食はリスク」との認識が重要です。

参考文献
厚生労働省「アニサキス食中毒予防ガイドライン」
松岡ら, 正露丸の抗アニサキス効果, Open J. Pharmacol. 2021

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