【大腸カメラ】「下剤が辛い…」下剤にもいろいろある?前処置の選び方ガイド|医師が解説
ハイサイ!安謝ファミリークリニック院長の高良です。
「そろそろ大腸カメラを受けた方がいいかな…」
「検査自体は大丈夫だけど、あの下剤を飲むのが辛くて…」
診察室で、患者様からこのようなお声を非常によく伺います。本日は、多くの方が不安に感じる大腸カメラの「前処置(ぜんしょち)」について、最新情報も交えて詳しくお話ししたいと思います。
この記事を読み終える頃には、「なんだ、最近はこんなに楽になっているんだ!」「これなら受けられるかも」と、きっと前向きな気持ちになっていただけるはずです。
そもそも、なぜ前処置(下剤)は必要なの?
大腸カメラは、お尻から細いカメラを入れて、大腸の中をすみずみまで観察し、ポリープやがんなどの病気を早期に発見するための非常に大切な検査です。
もし、大腸の中に便がたくさん残っていたらどうなるでしょう?
せっかくカメラを入れても、便が邪魔になってしまい、隠れたポリープや小さな病変を見逃してしまう可能性があります。
正確で安全な検査のためには、大腸の中を空っぽに「お掃除」する必要があるのです。このお掃除こそが「前処置」です。
昔は「生理食塩水を6リットルも飲む」といった、拷問のような方法もありました...💦。しかし、医学は日進月歩。現在では、患者様の負担を少しでも減らすために、前処置の方法は大きく進化しています。
進化する腸管洗浄液!あなたに合うのはどのタイプ?
「下剤=まずくて量が多い」というイメージは、もう過去のものかもしれません。最近の腸管洗浄液は、味や飲む量が大幅に改善され、選択肢も増えています。
3種類のお薬を例に、それぞれの特徴を見ていきましょう。ご自身の好みや体質に合わせて選ぶことができますよ。(当院では、現在モビプレップとビジクリアを採用しております。)
薬剤名 | タイプ | 味のイメージ | 飲む量 (目安) | 特徴 | こんな方におすすめ |
モビプレップ® | 液体 | 梅ジュースのような濃い味 | 約1.5L | 洗浄効果が高い。飲む量が比較的少ないのが最大のメリット。 | とにかく飲む量を少なくしたい方 酸っぱい味が平気な方 |
ビジクリア® | 錠剤 | 無味無臭 | 錠剤50錠 | 唯一の錠剤タイプ。味のストレスがない。5錠ずつ水やお茶で10回に分けて飲む。 | 液体の下剤の味がどうしても苦手な方錠剤を飲むのが苦にならない方 |
マグコロール®P | 液体 | 甘いスポーツドリンク風 | 約1.8L | 味が良く、飲みやすいと評判。多くの方に選ばれている。 | 飲みやすさを最優先したい方 甘い味が好きな方 |
※飲む量はお薬と、ご自身の水分(水やお茶)を合わせた総量です。
【最新情報】できるだけ負担が少ない!新しい選択肢も
「もっと飲む量が少ないものはないの?」「錠剤は大きくて飲みにくそう…」という声にお応えして、さらに新しい選択肢も登場しています。
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吐き気やお腹の張り軽減する方法
当院では、腸管洗浄薬の他に補助の薬としてドンペリドン(胃腸の動きを良くして、吐き気も軽減する)やガスコン(腸内のガスを減らすことでお腹の張りを抑えます。)などを併用してご負担が少なくなるよう努めております。 -
新しい味・剤形
上記以外にも、オレンジ味やフルーツ味など、味のバリエーションは増え続けています。 -
検査食の活用
「前日の食事制限が大変…」という方には、消化に良く、腸がきれいになりやすいように作られた「検査食セット」もご用意できます。3食分がセットになっており、メニューを考えずに済むのでとても楽ですよ。
不安を解消!前処置を楽に乗り切る“ちょっとしたコツ”
お薬を選んでも、やっぱり不安は残りますよね。そこで、多くの患者様が実践している「楽に乗り切るコツ」をご紹介します。
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キンキンに冷やす!:常温より冷たい方が、味が気にならず格段に飲みやすくなります。
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ストローを使う:味を感じやすい舌の真ん中を避けて、直接喉の奥に流し込むイメージで。
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飴や透明なガムで口直し:一口飲んだら、お口直しに。※色の濃い飴は避けてくださいね。
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リラックスできる環境を整える:トイレの近くで、スマホや本、好きな音楽を用意して、リラックスしながら自分のペースで進めましょう。
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体を冷やさない:温かい服装で、腹巻きをするのもおすすめです。
まとめ:一人で悩まず、まずは医師にご相談ください
大腸カメラの前処置は、40年前から基本は変わらないと言われつつも、患者様の負担を減らすために、お薬の味や量、種類は確実に進化し続けています。
大切なのは、ご自身の不安や希望を、正直に医師に伝えていただくことです。
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「以前、下剤を飲むのが本当につらかった」
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「味が濃いのは苦手で…」
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「錠剤を飲むのは得意です」
など、どんなことでも構いません。
私たちは、患者様一人ひとりに合った最適な前処置の方法を一緒に考え、ご提案させていただきます。不安が少しでも軽くなるよう、全力でサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。